Message from the President

「快適な時間と空間づくりを通して、
日本の魅力と文化を『体験価値』として提供する」という
企業理念の実現に力を注いでまいります。

ウェルス・マネジメント株式会社
代表取締役社長千野 和俊

千野 和俊

ご挨拶

株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
2024年は、円安の継続やCOVID-19終焉を背景に、訪日外客数が過去最高を記録し、観光業は力強い成長を遂げております。一方で、建築資材や人件費の高騰といった物価上昇の影響が投資環境に一定の制約をもたらしていることも事実です。
当社は、こうした経済環境の変化を的確に捉えつつ、事業会社として着実な成長を図るとともに、地域との共生を重視した取り組みを通じて、持続可能な観光の実現に引き続き積極的に貢献してまいります。

2025年3月期の振り返りと
2026年3月期の取り組みについて

不動産事業

2024年12月に、山梨県の山中湖畔に所在する約2万坪の開発用地を取得し、新たなラグジュアリーホテル開発プロジェクトに着手いたしました。また、「バンヤンツリー・箱根 芦ノ湖」においては、建築確認済証の取得を完了し、次の建築段階へと移行すべく不動産信託受益権を新たなSPC等へ譲渡するなど、開発計画を進めております。
一方で、昨今の建築業界全体における資材価格や設備工事費の高騰を受け、今期はコスト効率に配慮したリブランドおよびリノベーション案件にも力を入れ、短期的な価値創出に取り組んでまいります。

アセットマネジメント事業

昨年、当社の連結子会社であるウェルス・リアルティ・マネジメント株式会社は、金融商品取引業(投資運用業)のライセンスを取得し、三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社や三菱UFJ信託銀行と協業して「イビス大阪梅田」を対象としたセキュリティ・トークンの公募を実施いたしました。
国内外の変化を的確に捉え、柔軟かつ戦略的に対応するため、今期は工期が比較的短く収益化までのリードタイムも短いホテルのリブランド案件を中心に、投資家のニーズに即した機動的な運用を行うことで、よりスピーディーな収益拡大を図ってまいります。

ホテル運営事業

昨年は、日本初上陸となる「シックスセンシズ 京都」および「バンヤンツリー・東山 京都」を開業いたしました。なかでも「シックスセンシズ 京都」は、日本初となるミシュランキーの獲得やグッドデザイン賞の受賞を果たすなど、国内外から高い評価をいただいております。また、リブランド案件へも本格的な取り組みを開始しており、本年秋には北海道札幌にて「ホリデイ・イン」ブランドとしてのホテル開業に向けた運営受託も進めております。
今期は、アセットマネジメント事業との連携を一層強化し、リブランド・リノベーション・コンバージョンによる運営案件の拡充を図るとともに、日本の文化や精神性をサービスに反映させることで、当社が展開するホテルの魅力を世界に向けて発信してまいります。

株主の皆様へ

世界情勢が大きく揺れ動く中、これまで以上に、日本企業としての存在意義と社会的責任を見つめ直す必要があります。いかなる変革の時代にあっても、私たちは日本の魅力と精神性を礎に、企業価値のさらなる向上に努めてまいります。株主・投資家の皆様におかれましては、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

ウェルス・マネジメントグループが手掛けるホテルのお庭特集

私たちがランドスケープデザインに
こだわる理由

訪れるゲストに、五感を通じて自然を感じる上質な体験を提供したい。――そんな想いを込めて、私達はホテルの内装はもとより、ランドスケープデザインにも深いこだわりをもって開発を進めています。地域の風土や、四季の移ろいを巧みに取り入れた「庭」という空間は、建築だけでは表現しきれない心の豊かさやゆとりを与えてくれます。そしてそのような佇まいがホテルを単なる宿泊の場から特別な場所とし、滞在するひとときをより心に刻まれるものにするのではないでしょうか?今回は当グループが手掛けた四つのホテルのお庭の魅力について、ご紹介いたします。

ギャリア・二条城 京都

景色を映し出す鏡のような空間

ロビーに一歩足を踏み入れると、視界いっぱいに自然が広がる美しい空間が出迎えてくれます。玄武岩を磨き上げたラウンジのテーブルには、中庭の水盤とモミジを中心とした外の景色が映り込み、季節の移ろいはもちろん、時間帯によってもその趣がさまざまに変化します。映り込む緑と空は、一秒たりとも同じ表情を見せず、その一瞬一瞬がまさに贅沢なひとときです。

ランドスケープデザイナーより

伝統的な日本庭園をそのまま模倣するのでなく、今の時代表現にふさわしいデザインとし、此処ならではの立地環境・方位から導かれる作庭を行いました。
モミジと竹、苔と水鏡が織りなす静寂の世界は、自然の持つ豊かさを映し出すホスピタリティを目指しています。
Designed by ソラ・アソシエイツ

シックスセンシズ 京都

中庭から流れ込む穏やかな風

ホテルに入ると驚くのはその庭の種類の数々。伝統的な京町家の「前庭」「中庭」「通り庭」「坪庭」「座敷庭」「奥庭」をイメージしています。それぞれのお部屋はもちろんのこと、ホテル館内のどこからでも庭を望むことができます。地下の階にも自然光が差し込む庭があることに驚かれた方も多いのではないでしょうか?そんなホテルの中央にある数多くの庭が風の通り道になって、思わず深呼吸をしたくなるような心地にしてくれます。

ランドスケープデザイナーより

洛西・祇王寺をモデルに、高低差を活かした全13の庭が展開します。アカマツやモミジ、苔、岩組やせせらぎが織りなす静謐な景色が広がり、自然を建物へ引き寄せ、うるおいある環境を生みだしています。上質な静寂と風情をお楽しみください。
Designed by プレイスメディア

バンヤンツリー・東山 京都

至る所から聞こえる水の音

多くの石積みと木々や竹林、そして随所に流れる水が特徴的なバンヤンツリー・東山 京都の中庭。枝垂れ桜と石組や小滝で構成された庭や、能舞台の周りの水盤に流れる水の音は安らぎを感じさせてくれます。能舞台の背後に広がる美しい竹林で実施される早朝ヨガは人気のアクティビティの一つです。

ランドスケープデザイナーより

「幽玄」「庭屋一如」「山居の庭」をコンセプトに、京都・霊山山麓の山水(山々と水で構成された景観)を丹念に再構成しました。最大12メートルの高低差を活かした三つの庭と、奥に広がる竹林が一体となって、ゲストを静謐な空間へ誘います。
Designed by プレイスメディア

フォションホテル京都

パリと京都を結び付ける箱庭空間

実はフォションホテル京都にも小さな庭があることをご存じでしたか?ホテルに足を踏み入れ、階段を上がったその先には立礼卓と背後に日本庭園をイメージした小さな庭があります。日本の茶の湯文化とフランスのサロン・ド・テという文化の共通点から発想したおもてなしの空間です。

ランドスケープデザイナーより

ティーサロン=茶室は京都の文化の根幹を担っています。そして庭もその一部です。お手前を披露するカウンター越しにある苔の台は屋外の床の間であり、各処に植えられた茶の木が持つ無限の可能性が紅茶を生み出しました。それらに想いを寄せる現代の茶人の立ち居振る舞いが美しく見える背景でありたいと思います。Designed by 苑芸

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