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特集 インタビュー
Message from the President
巻頭特集 インタビュー
Message from the President
ウェルス・マネジメント
代表取締役社長
千野 和俊

株主の皆様には日頃よりご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
日本のインバウンド観光は、2022年から2023年にかけて大きな回復を遂げており、2023年は前年比6倍となる約2507万人の外国人観光客が訪れました。円安も観光業の回復に貢献しており、海外からの旅行者にとって日本がより選びやすい旅行先となっています。
一方で、急速な回復に伴い、オーバーツーリズムやサービス業の労働力不足といった課題も浮上しており、京都などの人気観光地では観光客の増加による混雑が住民の生活環境に影響を及ぼしております。今後、ますます持続可能な観光やホテル運営の在り方が重視されるようになり、弊社の事業活動におきましても、事業会社としての収益の向上とともに、社会的責任を果たすべく活動を積極的に行っていきたいと考えております。
2024年3月期を振り返っていただけますか。
ホテル運営事業
ホテル運営事業については、インバウンドの順調な回復の影響もあり、売り上げは3年前に比べ6倍となりました。運営ホテルも4月からシックスセンシズ 京都の稼働が開始、今夏にはバンヤンツリー・東山 京都のグランドオープンも控えており、さらなるホテル運営事業の加速を進めてまいります。4月にオープンしたシックスセンシズ 京都は、「サステナビリティと自然環境・地域社会との共生」を理念とするホテルブランドとして、観光地の環境や文化を保護するだけでなく、訪れるゲストに対して、真にその土地の文化や自然を理解し、体験する機会を提供しています。徹底的に地球環境へ配慮したホテル運営と持続可能な観光を推進することで、京都の観光業全体の長期的な成長と発展に貢献してまいります。
不動産・アセットマネジメント事業
2024年3月期の不動産・アセットマネジメント事業については、長野県白馬ホテル開発プロジェクトは開発SPCへ譲渡、北海道ニセコ・シックスセンシズは建築SPCへ譲渡と順調にプロジェクトが進捗しております。今後の戦略として、新たなファンドのセットアップを行い、すぐに安定収益につながる稼働中のホテルの取得を行うプロジェクトを進めていきたいと考えております。新規ホテル開発と稼働中ホテルの取得による受託資産増強の両輪で事業を拡大してまいります。
今後の取り組みについて教えてください。
昨年はWeb3.0事業部を立ち上げ、STOの組成、宿泊できる権利をNFT化して販売を行いました。京都の三条にあるダーワ・悠洛 京都のSTOは即完売という実績を残すことができ、今後はSTOでのブリッジファンドの安定化を行っていきたいと思います。
STO以外のWeb3.0の活用につきましては、RWA(リアル・ワールド・アセット)は不動産と非常に相性のよい技術であるので、弊社の事業全般での活用を検討していきたいと考えております。
また、昨年の決算発表でお伝えしたラグジュアリービジネスへの参入につきましては、メディカル事業を筆頭に検討中です。事業の進捗につきましては、皆様にもお伝えできるタイミングで開示させていただきますので、楽しみにしていただけましたら光栄です。
最後に、株主・投資家の皆様へメッセージをお願いします。
今後、時代の変化はますます加速し、私たちの未来には幾多の好機と逆境が待ち構えています。ウェルス・マネジメントは、不動産金融、ホテル運営、アセットマネジメントなど多岐にわたる事業の基盤固めをしっかりと行い、さらなる成長を目指してまいります。私自身が先頭に立ってその逆境に立ち向かい、社員一丸となって越えてまいりますので、ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともより一層のご理解・ご支援を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

ラグジュアリーホテル
開業までのブランドストーリー
2024年7月26日(金)にソフトオープン、その後グランドオープンを迎える
「バンヤンツリー・東山 京都」のご紹介と共に、ホテルの建築デザインを手掛けられた
建築家の隈研吾氏にホテルのデザインコンセプトについてお話をお伺いしました。
外観完成イメージ 検討段階のものであり、今後変更となる可能性があります
ウェルス・マネジメントグループが、投資・開発・経営に携わる「バンヤンツリー・東山 京都」。
いよいよ2024年7月26日(金)にソフトオープンし、その後まもなくグランドオープンします。
日本初上陸のホテルブランドの母体をなすバンヤン・グループは、1994年にサステナビリティを主たるコンセプトとして設立され、ウェルビーイングとスチュワードシップを主軸とし、すべてのステークホルダーとホテルが所在する土地、商品、ブランドに長期的な価値を創造することをミッションとしています。
能舞台を眼前にしたレストラン完成イメージ 検討段階のものであり、今後変更となる可能性があります
温泉付き客室完成イメージ 検討段階のものであり、今後変更となる可能性があります
このバンヤン・グループのフラッグシップホテルが、ついに京都に誕生します。「バンヤンツリー・東山 京都 」は、高台寺や清水寺も近い京都東山の高台に位置し、市内が一望できるラグジュアリー・アーバンリゾート。天然温泉の源泉を有し、温泉付きの客室も一部に完備。温泉を活用したバンヤンツリー・スパにもご期待ください。さらに、京都市内のホテルで唯一となる能舞台も建設予定。幻想的な空間にもご期待ください。
今回は、まもなくグランドオープンを迎える「バンヤンツリー・東山 京都」の建築デザインを手掛けられた
建築家 隈研吾氏のインタビューを交えて、「バンヤンツリー・東山 京都」の世界をご紹介します。
「バンヤンツリー・東山 京都」のデザインを手掛けた
1954年生。1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。50を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『点・線・面』(岩波書店)、『ひとの住処』(新潮新書)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、他多数。
cJ.C.Carbonne
デザインアーキテクト
隈 研吾
Q1
「バンヤンツリー・東山 京都」の
建築デザインの
コンセプトを教えてください。
「自然との調和」「伝統的木造建築の美」
京都の町の際である敷地。自然と町の景色、両方を享受できる特別な場所において、自然との調和を大切にしました。伝統的な木造建築の美しさを随所にちりばめつつも、現代的な手法で落とし込んでいます。
現地確認の様子
Q2
敷地の特性や京都の敷地、
この地域の印象を教えてください。
東山のエリアは古来より、京都の町と山の間、町の端に当たる場所で、敷地の北には大谷祖廟、南には大谷本廟(鳥辺野)があり、現世と来世を隔てる結界のような場所でありました。
古くから書物にも登場し、自然と町の賑わい両方を享受する場所です。また、高台にあるため、京都市内でも類を見ない素晴らしいビューを望める敷地です。
建設中の能舞台を確認する様子
Q3
本プロジェクトにおける「能舞台」について、デザインのこだわりやウェルス・マネジメントグループ、バンヤン・グループとの協働プロセスについて教えてください。
千野社長がこの地より感じ取ったインスピレーションより、能舞台を一つの核とし、ホテル全体のコンセプトとして「幽玄」を掲げました。
レストランに面した能舞台は、霊山(りょうぜん)の山を背にし、豊かな自然に溶け込むようデザインされました。
伝統的な寸法体系を守りつつ、ホテル本体と統一感のあるデザインが、存在感と儚さを兼ね備えた能舞台を作りあげています。
長期のプロジェクトの中で、床面だけの舞台、本舞台だけの提案となった時期もありましたが、能舞台としての風格を保つために、様々に形を変え、可能な限り当初のイメージを継承して完成することができました。
工事は、社寺仏閣を多く手掛ける奈良の職人たちによって施され、木の肌理も仕口も立派で美しい能舞台となりました。
Q4
完成後、ホテルに滞在するゲストへ
メッセージをお願いします。
東山の森と溶け込み、外界から切り離されたサンクチュアリを作りました。
霊山(りょうぜん)の山に住む鳥たちのさえずりや、笹鳴りの音、静けさを感じることができるよう、森に対して最大限に開くようホテルを設えました。
洗練された木造建築の集まる京都で、木造建築の美しさを引継ぎ、周辺の建物とも調和のとれた現代的な手法を試みています。軒下に連なる垂木は奥行きと柔らかな陰影をもたらし、時の移ろいを感じさせます。
